有機JAS認証取得の
専用水田で作られたお米をエタノールに
原料となる米は日本有数の米どころ、岩手県奥州市胆沢(いさわ)の米農家さんが無農薬で生産しています。そのお米を酵母の力で発酵させた「もろみ」を丁寧に蒸留し、ゆっくりと時間をかけて、エタノールを抽出しています。
2018年に有機JASオーガニックの認証を受け、国内初の「オーガニック玄米を原料としたエタノール」を作っています。そしてラボでは2019年から太陽光などの再生可能エネルギー電力を使用しています。
大切に作った原料を製品へ
エタノールは、化粧品の原材料やアロマ製品の材料などに使用しています。米からエタノールを作る工程で発生する米もろみ粕(発酵粕)には、米ぬか、麹、酵母などを由来とする栄養価が残されており、石けんなどに配合して商品化しています。
ゴミを出さず、地域に循環
米もろみ粕(発酵粕)は飼料にもなり、地域の養鶏農家さんや牛農家さんが利用しています。ゴミゼロで資源が循環、地域の農業・商業へと繋がっています。
ー “米づくり”からはじまるファーメンステーションの商品
- 3月 種もみ
- 岩手ではまだ寒く感じる頃、種もみを水に浸し、苗を育てる準備を始めます。
- 4月 種まき
- 種もみを温めて芽出しをしたら、自然用土に種まき。土や種もみも、オーガニックの基準に合うものを厳選しています。
- 5月 田植え
- 田んぼに水を張り、田植え。農薬や化学肥料を使わないので、一年を通して益虫が多く訪れます。生物多様性を守る米作りは生態系維持や環境保全にもつながっています。
- 7月 出穂と開花
- 成長した稲が穂をつけます。オーガニックの水田は農薬を使わず丁寧に草刈りをして雑草や害虫を増やさないよう管理します。
- 9月 登熟
- 稲が黄金色になり、大きく穂を垂れると収穫シーズンも間近です。
- 10月 刈り取り〜袋詰め
- 稲刈り。収穫したお米は籾つきのまま乾燥させ、袋詰めして専用の倉庫で保管します。
ー オリジナル装置を使ってのエタノールづくり
- お米に麹や酵母などを入れて発酵開始。ぷつぷつと発酵が始まります。
お米を糖化するための麹や、糖分をアルコールに変える酵母は、ファーメンステーションのエタノールのために選別したものを使用しています。
- 一定のアルコール濃度になると酵母の活動はおさまります。
- 濃度の高いアルコールを抽出します。
アルコール濃度が90%以上になるまで蒸留を繰り返し、原料としてのエタノールが精製されます。 ファーメンステーションでは、95%濃度以上にしたエタノールを販売しています。
ー ゆるやかに続く地域循環
発酵粕は、栄養の豊富な飼料として、主に市内の養鶏農家「まっちゃんたまご」の採卵鶏にフィーディングしています。
まっちゃん農園のたまごは国産エサ100%の平飼いたまご。食肉や卵は、何をエサとして食べたかで、香り、味、色、脂の質が大きく変わりますが、まっちゃんたまごの鶏はお米が主食のため、やさしいレモンイエローの黄身が特徴。くさみがなく滋味深い味わいで、地元で大人気のたまごです。
発酵エサを食べた鶏は腸内環境が整っており、糞の匂いが軽減されます。そのため畑や田んぼなどに散布する肥料として利用しやすく、現在は食用の米、ピーマンやトマトなどの野菜、ひまわりなどの花の肥料として使われています。これらの野菜を「循環をめぐるツアー」の食事で提供する、ひまわりの種から油をしぼる、まっちゃんたまごとひまわり油でお菓子を作るなど、循環の輪は自然と広がっています。さらに、岩手県内の牛農家さんにも飼料として利用いただいています。
未利用資源である休耕地=米を再利用し、発酵の力で別の資源=エタノールに変換する、そのすべての過程を地域内で実現し、粕を利用してもらうことでサスティナブルな循環がゆるやかに派生してゆく。日本の農家は昔から、家畜の糞を田畑にまいたり、生ごみを肥料にしたり、もみ殻を燃料にするなど、生活の知恵として当たり前のように資源を循環させ、無駄のない暮らしを整えてきました。
ファーメンステーションは、
このような農耕文化や暮らしの慣習を発酵技術によって多様にアップデートし、都市と地域をつなぎながら、地域資源や農村文化を守る(つくり続ける)一員でありたいと考えています。